【甘いものが止まらないとき、あなたの脳に何が起きているの?】

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脳と心が疲れている?|やさしいセルフケア習慣

「また食べちゃった…」と罪悪感

仕事でくたくたになった夜、気づいたらお菓子の袋を開けていた。

「今日はやめよう」と決めていたのに、また甘いものに手が伸びてしまう。

そんな自分にがっかりして、「私は意志が弱いからダメなんだ」と責めていませんか?

でも、実は疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、脳が出しているSOSのサイン。

脳とホルモンの働きを知れば、自分を責めるのではなく、やさしく癒す方法がきっと見えてきますよ。

この記事では「甘いもの」を食べたくなる仕組みを脳やこころの側面から考え、その対処法についてお伝えします

なぜ、疲れると甘いものが食べたくなるのか?

脳のしくみから考えてみよう

1.「報酬系」と糖分の関係

私たちの脳には「報酬系」というシステムがあります。

これは、何か良いことがあったときに快感を得て、行動を強化する神経回路の集合体です。

甘いものを食べると、この報酬系が活性化し、ドーパミン(快感をもたらす物質)が分泌されます。

特に「砂糖」は、薬物のように毎回ドーパミンを放出する強力な刺激を持つと指摘されています。

2.ストレスがかかったときの脳の反応

ストレスや疲労がたまると、脳は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。

このコルチゾールは血糖値を上げる働きがあるため、体が自然に糖分を欲するようになります。

さらに、甘いものを摂取すると、脳内でβ-エンドルフィンという快感物質が出ることがわかっています。

これはモルヒネに似た構造を持ち、一時的な幸福感や安らぎを与えてくれる物質です。

つまり、甘いものを欲しくなるのは、ストレスから心や体を守るための脳の反応なのです。

3.脳にとっての「エネルギー源」

脳の主な栄養源は、炭水化物から吸収される「ブドウ糖」です。

疲れているときに甘いものが食べたくなるのは、脳がエネルギーを必要としているサイン。

手軽に素早くエネルギー補給ができるものとして、自然と甘いものに手が伸びてしまうのです。

「やめなきゃ」と思うほど、なぜ食べたくなるのか?

禁止が欲求を強める「心理の逆効果」

「もう絶対に甘いものを食べない!」と強く決意しても、

その「禁止」がかえって脳にとって強いストレスになることも。

人は「制限されると、より欲しくなる」性質があるため、

禁止が欲求を強めるスイッチになってしまうのです。

セロトニンと甘いものの関係

気分が落ち込んでいるときやストレスを感じているとき、

脳内ではセロトニンという「安心ホルモン」が不足しがちです。

甘いものを食べると、このセロトニンが一時的に増え、心が落ち着いたように感じられるため、

体がその感覚を覚えてしまい、欲しくなるループが生まれやすくなります。

罪悪感がさらなる悪循環に…

という負のサイクルに陥ってしまう方も多くいます。

まずは、「甘いものが欲しいと思うのは脳の自然な反応」だと理解することで、この悪循環から一歩抜け出すことができます。

甘いものに頼りたくなったときに試してほしい、やさしいセルフケア

1|甘くない「ごほうび」を用意する

脳は「快感」や落ち着きを求めて甘いものに向かってしまいます。

そこで、甘くない快感や落ち着くための手段を意識して用意しておくのがおすすめです。

  • 香りのよいハーブティー
  • 甘くないチョコレート
  • 温かいお風呂や足湯
  • 心がゆるむ音楽や照明

五感をやさしく刺激する体験は、甘いものと同じように脳を満たしてくれます。

2|満たされる食べものに置き換える

完全にやめるのではなく、食べるものを置き換えることでストレスを減らしましょう。

食べたいものおすすめ
チョコ菓子無糖ヨーグルト+フルーツ
焼き菓子バナナやリンゴ
クッキーナッツ類やチーズ

甘さを感じながらも、栄養バランスと満足感を得られる工夫がポイントです。

3|セロトニンを増やす生活習慣を整える

セロトニンは、「幸せ」「安心」を感じる脳内物質です。

以下のような習慣で、自然にセロトニン分泌を促すことができます。

  • トリプトファン(大豆・魚・乳製品)を含む食事
  • 朝の日光を浴びる
  • 軽いウォーキングや深呼吸
  • 規則正しい睡眠

甘さではなく、身体全体で心を整える生活に変えていくことがコツです。

4|「1日1つの甘くない癒し時間」をつくる

毎日1つ、「自分を満たす甘くない時間」を決めてみましょう。

  • 10分だけ好きな本を読む
  • ペットや植物に触れる
  • 誰かに話を聞いてもらう
  • ソファで瞑想をする
  • ゆっくり手帳をかく
  • 温かいお茶を淹れる

これも、立派な「ごほうび」です。

甘いもの以外で自分を癒せる時間が少しずつ増えていきます。

それでもやめられないときは

あなたの脳が「がんばってるよ」と教えてくれている

先ほどもお伝えしましたが、甘いものを欲するのは、心が疲れている証拠です。

それはあなたが日々がんばっているということなのです。

セルフコンパッションのすすめ

心理学では、「セルフコンパッション(自分への思いやり)」がストレス対処に効果的とされています。

甘いものを食べてしまったときは、

「またやってしまった…」ではなく、

「今日は本当に疲れた…よく頑張ったよね」

「ご褒美に甘いものがあってもいいよね」

と、自分にやさしい言葉をかけてあげてください。

やめるのではなくルールをつくる

  • 今は無制限に食べているけど、週2回にする
  • お菓子なら一袋だけにする
  • 食べるのは19時までにする

など、自分に合ったルールやルーティーンを作ってみましょう。

大切なのは、「0か100か」ではなく、ちょうどいいところを探すことです。

まとめ|甘いものとうまく付き合うする

甘いものがやめられないのは、

意志が弱いからでも、あなたがダメだからでもありません。

それは、脳と心があなたを守ろうとしてくれているということ。

だからこそ、まずはそのサインに気づいて、自分をいたわることから始めましょう!

甘いものに頼ってきた過去の自分も、今日からやさしく受け入れて。

そして少しずつ、甘いもの以外のセルフケアも知っていきましょう。


📌この記事が少しでも心に残ったら、保存しておいてください。

疲れたとき、またここでお会いできたらうれしいです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。甘いものへの過剰な依存や、健康上の不安がある場合は、医師や専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

これまで精神科クリニックやスクールカウンセラーを経験してきました。
みなさんがゆるっと自分を大切にできるための情報を発信していきます。

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